3.ウィーン楽友協会演奏会
 3年 クラリネット 野呂悠佳


 12月22日、ウィーンに着いて2日目。私たち110名がウィーン楽友協会でクリスマスコンサートを開く日。朝からホールでのリハーサル。このホールは「グローサーザール」「黄金のホール」とも呼ばれている。ホールに入った瞬間「わぁ!!」というみんなの歓声が聞こえた。ホール内は天井が高く、見渡す限りゴールドで大きなシャンデリアがそれらを照らし輝いていた。このホールで演奏できるのは一生に一度あるかないかである。私はこの日を何日も前から待ち望んでいた。リハーサルが始まった。吹き始めは皆がホールの響きに負けているように感じた。でも、徐々にその響きを自分のものにし、自分達の音をホールに響かせられてきた。私はとにかく音を馴染ませようと思った。午後7時前、楽屋で、その日一日ガイドをしてくださった方に「トイ・トイ・トーイ」と言われた。これは、「自信を持って吹きなさい。そうすればきっとうまくいくでしょう。」という内容だった。その言葉を胸にステージ裏までの階段を登った。コンサートは予定より少し早く開演した。私は深呼吸をし、ステージへと歩いた。お客さんはほとんど現地の方だった。私たちの演奏が始まった。お客さんから大きな拍手、「ブラボー!!」という最高の言葉をいただいて、コンサートが大成功に終わったのだと思えた。演奏が終わったとたん、このホールで演奏するまでの日々が頭の中にふと浮かんだ。辛かった日も悩んでいた日も無にしてくれたように感じた。3年生にとっては高校生活で最後の演奏が、普通に過ごしていたら経験できないようなホールであったことがとても幸せで、今でも夢のようで、でも昨日のことのように思える。この演奏会を通して出会った仲間とこんなに素晴らしい音楽が作れたこと、聞いて下さったお客さんと演奏会という一瞬の時間を共有できたことに音楽の素晴らしさを実感した。

[←戻る]